2024年11月20日 16:00

時代と共に変化するニーズに応える部品は 「日常や仕事をより円滑にする “舞台裏の主役”」

【ものづくり】キャスターホルダーほか(株式会社栃木屋)

「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」の注目出展者たちに、その展示内容や見どころをインタビュー。今回は、簡単に取り付け・取り外しが可能で地震対策に役立つ「キャスターホルダー」などを手掛ける株式会社栃木屋(東京都千代田区)の常務取締役 栃木渉さんと、マーケティング&エリア営業部 本社営業課 河村匠未さんにお話を伺いました。同社のものづくりは日常の中でどのように生かされるのでしょうか。

機器部品メーカーの老舗から誕生した、ありそうでなかったユニークなキャスター止め

創業から110余年、機構部品メーカーとして2024年で75周年を迎える株式会社栃木屋は、機構部品の先駆者としてさまざまな製品を生み出してきました。産業機械の駆動部品のほか、商店などで使われる取っ手、電車の座席に付いている荷物をかけるフックなど、実はさまざまなところで使われています。

今回、「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」で展示される「キャスターホルダー」も、そんな製品の1つ。「コロピタ」の愛称が付けられた、コの字形の小さく軽い製品ですが、地震対策として多くの企業などで活用されています。

「床面側にエストラマー樹脂を付加したキャスター止めで、Pタイルなどで高い滑り止め効果を発揮します。使い方は至って簡単で、キャスターの横からすっと差し込むだけ。重く大きな筐体(機械や装置を収める箱形の容器)を持ち上げることなく付け外しができるので、腰を傷めなくて済む、指をケガする心配がない、と作業者の方などに好評です。キャスターが付いているものならホワイトボードや机、書類ラックなど何にでも対応可能で、例えば、学校などではお子さまでも簡単に使っていただけます」(河村さん)

大きさはキャスターのサイズに合わせた3種類。底面にマグネットシートを施し、使わないときは筐体の側面に貼りつけて保管できるほか、紐を通せる穴を配し、吊るして保管できるようにしたのも、使いやすさを追求した結果です。社名やロゴなども入れられるので、企業のノベルティグッズなどにも利用されています。

「大型抗菌樹脂ハンドル」も、同社を象徴する製品です。
「白い樹脂の抗菌ハンドルで、コロナ禍に開発されました。タブレットの保管庫やスライドドア、ナースカートなどに取り付けることができ、病院など衛生面を重視するところで使われています」(河村さん)。
取っ手はしなやかな弾性があり、握り部の突起が吸い付くようなフィット感。軽い力で取り回しがしやすい形状を考案し、金属製の取っ手とは異なるマットでさらりとした優しい感触が手に伝わります。

「あらゆる産業で活躍できる機構部品づくり」をモットーに環境にも配慮

株式会社栃木屋が設計・販売する機構部品の多くは小さなものですが、実は生活や仕事の質に大きく関わり、その根本を陰で支えるものばかりです。
「私たちの部品は、単体では一見どう活用されているかわかりにくいものもありますが、
普段よく使われているものが多くあるので『舞台裏の主役』と名乗っています。日常の中に当たり前にある部品だからこそ、その精度と品質を安定して供給することに注力しています」(栃木さん)

例えば、前述の「大型抗菌樹脂ハンドル」も“普通のハンドル”のようにも見えますが、樹脂の成型やねじ穴等の設計などには高い技術が必要とされます。
「特に産業機械向けの精密部品は、1mmの誤差も許されません。どの国でもそれなりによい製品を作ることはできると思いますが、それを安定して一切の不良なく供給し続けていくのは大変なこと。そういう意味で、繊細で緻密な日本のものづくりの精神が、長い会社の歴史に息づいていると思います」(栃木さん)

いま目指しているのは「機構部品の革新者」になることだと言います。
「機構部品の先駆者としての技術や知識をベースに、これからは時代と共に変化するさまざまなニーズに対応していく必要があると考えています。個々のお客様の要望を形にしていくことを大切にし、業界や業者を問わず、あらゆるところで使っていただけるような便利な製品、今までありそうでなかった部品などの研究や開発を進めています」(栃木さん)

同社はいわゆるファブレスメーカーで、製造を外部工場に委託するビジネスモデルを確立。顧客との共同開発をモットーとし、あらゆるニーズに応えるフルオーダーのカスタムメイドやセミオーダーの部品も各工場とタッグを組んで製作しています。迅速な製品開発を支援する3Dプリンターや各種試験機器、プロジェクトチームの開発活動なども導入し、細やかな要望に柔軟に対応できることが大きな強みです。
また、「人と環境の調和」に主眼に置いた取り組みや、化学物質を低減する取り組みも積極的に行っており、安心して使えるものづくりにも注力。そのような観点から、環境意識の高い企業が同社の製品を選ぶことも、年々多くなっていると話します。

異業種ともタッグを組んで新たな生活を支える製品開発も目指したい

同社が扱う製品は、カタログに掲載されているものだけで約6000種、特注品まで含めると年間で約1万5000種もあると言います。
「今回の出展では『キャスターホルダー』や『大型抗菌樹脂ハンドル』以外にもさまざまな製品をご紹介する予定ですので、部品で困っていることや気になる製品などがあれば、お気軽にブースにお立ち寄りください。『こんな部品が欲しい』『ここに困っている』といったご要望を一緒に解決できればと思っています」(河村さん)

「もともと産業機械に多く使われてきた部品ですが、業種を問わず、身の回りや生活の中でも使っていただけることを知っていただければ」と話すのは、栃木さん。
「医療や食品など、ふだん私たちが出会う機会の少ない異業種の方々ともお話しできるといいですね。例えば、IT企業が開発したソフトと、私たちが作った駆動部などのハードを融合して新しい製品を作ったりするのも面白いですよね。双方に有益なネットワークが構築できることを期待しています」(栃木さん)

株式会社栃木屋
東京都千代田区内神田2-11-1
https://info.tochigiya.jp
主な事業内容:蓋止、扉止、錠前、蝶番、ハンドル、取手、キャスター、キャリーケース 及び周辺部品などの設計・販売

 

 

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