2024年12月2日 10:30
【ものづくり】折り工学を用いたプロダクトデザイン、試作/量産(株式会社OUTSENSE)
「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」の注目出展者たちに、その内容や見どころをインタビュー。今回は、インフルエンサーの最所あさみさんが、「折り工学」を用いた設計で企業のさまざまな課題を解決する株式会社OUTSENSE(東京都大田区)を取材。取締役・堀井柊我さんに、「折り工学」とは何なのか、またその技術でどんな課題が解決できるのか、詳しく話を伺いました。
—「折り工学」という言葉は初めて耳にしましたが、御社はどのような活動をされている会社なのでしょう?
「一言でいうと、折り工学を活用したプロダクトデザインと試作開発を行なっています。“折り工学”という言葉自体は耳慣れないかもしれませんが、折り畳み構造の技術を用いて、お客様にとって付加価値の高い製品を提供しています。例えば、包装資材としての緩衝材では、折り設計による立体構造で、衝撃吸収性を高めることが可能です。また、繰り返し使用可能なため、資源の節約につながることもあります。このように、機能性とデザイン性を兼ね備えた製品の提供を目指し、研究開発から量産までを手掛けています」
—包装資材以外に、どのような業界や業種にこの技術が役立つと考えられますか? 具体例を教えてください。
「昨年のビジネスチャンスEXPO in TOKYOに出展した際、改めて、多くの業界や業種の方の課題解決に折り工学が貢献できることを実感しました。例えば、折り畳み可能なペットボトルの容器を開発したいという企業様がいらっしゃったのですが、従来の技術ですと、ペットボトルの素材は高反発で折り畳もうとすると戻ってしまうという問題がありました。しかし、弊社の折り工学の設計技術によってその問題を解決して、実現可能となりました。これにより、機能改善という新たな発見をお客様に感じていただき、ご満足いただいたケースがありました。他にも、建材や防災用品、衣服、インテリア、家電、機械部品、店舗装飾など、様々なニーズに応じた提案が可能です」
—折り工学の技術で解決できるポイントはどのような点にあるのでしょう?
「大きく二つあります。一つ目は、作りたい形状がデザイン上難しい場合の解決です。例えば、型を用いて製品を作る場合、成形までに非常に高額なコストがかかることがあります。そのため、作りたい形状を諦めてきたケースに対して、弊社の平面加工技術を活用すれば、デザイン的に高い付加価値を持たせながら、小ロットで安価に提供することができます。二つ目は機能性の向上です。折り畳み可能な設計により、省スペースでの輸送が可能となり、輸送問題の解決に貢献できます。また、折りの構造によって強度を高めることで、使用する素材の量を減らし、省資源での設計を実現します。その他にも、衝撃吸収性や放熱性を向上させるなど、様々な付加価値を与えることが可能です」
—多種多様な業種に対応できるということですが、どんな素材でも対応できるのでしょうか? また、量産化する際の流れはどのようになっているのでしょう?
「使用できる素材は、樹脂、金属、紙、布など多岐にわたります。立体形状の付与に悩んでいるお客様には、ご要望に応じた製造技術を提案させていただいています。中には、技術的には実現可能であっても、一般的な製法の方がコスト効率が良い場合もあります。その際は、平面から立体形状に加工する方法が適切か、従来の量産方法が適切かを一緒に検討させていただくこともあります。製品開発を行う際には、そういった一つ一つの課題を分析し、設計や試作を重ねながら、サービスの実装まで全面的にサポートしています」
—具体的なサービスはどのようなスタイルになっているのか教えて下さい。
「弊社では、主に3つのサービスを提供しています。まず、R&Dサービスでは、設計委託、研究委託、共同研究開発などの研究開発を担っています。次に、ODM/OEMサービスでは、製品開発を行なっています。最後に、SORIORIというサービスで、店舗のディスプレイや壁面装飾の開発を行っています。特に最近は、店舗装飾のニーズが高まっています」
—店舗のディスプレイまで手掛けているのですね。そういったジャンルに、折り工学はどのように役立つのでしょう?
「従来、立体形状の装飾を成形するには莫大な費用がかかるものでした。その上、店舗装飾やイベント装飾は、1度使用すると廃棄せざるを得ないというのが一般的でした。しかし、弊社の製品はシンプルな形状でありながら美しく見える折り構造を採用しており、リサイクル性も確保した上で量産しています。そのため、従来と比べて安価に提供することが可能です。また、折り畳んで平面の状態で納品できるため、保管スペースも節約できます。さらに、組み立ても少人数、短時間で行える形状となっており、展示会などでの装飾品としても最適です」
—お話を聞いていると、折り工学という技術の無限の可能性を感じられてワクワクしてきました。最後に、今回の「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」を訪れる方々にメッセージをお願いします。
「弊社は、折り工学という革新的な技術を活用して、まだ世の中に存在しない製品や、これまでに見たことのない立体装飾を創造する会社です。様々な業種の方々と意見を交わしながら、新しいアイデアを共に発想していきたいと考えています。今回の展示会がそのような機会になれば幸いです。当日は、折り工学を用いた構造物の展示に加え、折り線加工サンプルの配布もご用意しています。多くのお客様に折りの成形にチャレンジしていただき、その魅力を体感いただければと思います。ぜひ、ブースにお越しください」
<最所あさみさんプロフィール>
最所 あさみ(asami saisho)(@qzqrnl)
大手百貨店入社後、ベンチャー企業にてポップアップストア出店のサポートやメディア運営に携わり、得た知見をもとにこれからのリテールのあり方について2016年よりnoteで発信を開始(noteフォロワー数6万2千)。「知性ある消費」をミッションにかかげ、消費文化の研究、海外小売の調査、海外向けのアテンドなどを行う。
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