2025年10月22日 15:00

世界初の搭乗型4足歩行ロボット「SR-02」が切り拓く、ロボット×エンタメの新境地

【主催者ブース】搭乗型4足歩行ロボット「SR-02」(三精テクノロジーズ株式会社)

「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」の注目出展者たちに、出展内容や見どころを伺う本企画。今回は、世界初の4人乗り搭乗型4足歩行ロボット「SR-02」を開発した三精テクノロジーズ株式会社(大阪府大阪市淀川区宮原4丁目3番29号)をご紹介します。舞台機構やアトラクション機器で国内外に実績を持つ同社は、なぜロボット開発に挑んだのか。ロボット工学とエンターテインメントの融合から生まれた“人が搭乗して歩く”体験は、来場者にどのような驚きと可能性をもたらすのか。技術顧問の宮﨑和也さんに、その背景と狙いを伺いました。

人を“乗せて楽しませる”技術が、歩行ロボットへ進化

三精テクノロジーズ株式会社は、1951年の創業以来、エレベーターの設計・製造をはじめ、舞台設備やジェットコースターなどの大型遊具まで、「人を乗せる」、「人を楽しませる」分野に真摯に向き合ってきた企業です。ものづくりの根底には、「卓越した技術で人々に笑顔を届ける」という揺るぎないモットーがあります。

このモットーのもと、「人を笑顔にする面白いものを作れないか」という想いから始まったのがロボット事業でした。エレベーター、舞台、ジェットコースター――数々の「人を乗せる」製品を手掛けてきた同社にとって、「自らの足で歩行する乗り物」は未知の領域でした。この新たな挑戦の末に誕生したのが、4人が搭乗可能な世界初の4足歩行ロボット「SR-02」です。

関節の可動域を極めて到達、SR-02のしなやかな挙動

SR-02の開発は、2018年に誕生した2人乗り2足歩行ロボット「SR-01」を原型としています。「2本足を2つ並べれば4本足になるのでは」というシンプルな発想から始まりました。しかし一見単純に思える挑戦も、実際には数多くの困難が立ちはだかりました。

「最も苦労したのは関節(足にある丸く見える部分)の可動域の確保でした。可動域を広げれば、より繊細で複雑な動きが可能になります。SR-02が前進や後退だけでなく、その場で360度旋回できるのも、この広い可動域の賜物です。しかし、可動域を広げすぎるとフレーム同士が干渉してしまう。機械的な制約と、理想の動きを実現するための制御。この二つのせめぎ合いを乗り越え、2022年に完成に至りました」と、宮﨑さんは振り返ります。

この複雑な動きを操る制御ソフトウェアには、アスラテック株式会社の「V-Sido(ブシドー)」を採用。大型ハードウェアを得意とする三精テクノロジーズと、ソフトウェアに長けたアスラテック社。両社の技術が融合し、巨大な機体に命が吹き込まれたのです。

安全最優先の制御が、楽しさと信頼を支える

SR-02が「世界初」と称される理由は、4人が搭乗し、自らの4本の足で自立歩行するという組み合わせにあります。重量2.0トンにもなる巨体は、あえて分速9mという、人が歩くよりもゆったりとした速度で、まるで象のように「のしのし」と進みます。これは、巨体が高速で動くことによる恐怖感を与えず、安心して楽しめる体験を実現するための意図的な設計です。

開発で最も重視した点は何か尋ねると、「人を乗せるかぎり、最優先は安全性です」と宮﨑さんは明言します。
「あらゆる状況を想定し、パソコン上で“どこまで傾いたら転倒するのか”を徹底的にシミュレーションしました。そのデータをもとに、危険な領域に達する前に動きを停止させる制御が組み込まれています。この絶対的な安全性の追求こそが、SR-02の新たな可能性を広げる基盤となっています」

実際に、搭乗の様子を見せていただきました。はしごを使って機体に乗り込むと、ロボットが足を伸ばして高さが上昇。4本の足を1足ずつゆっくり動かして慎重に進みます。全長3.6m、高さは、足を伸ばした状態で約2.7mとかなりな巨体です。

異分野とのコラボで生まれる新しい価値

現在、SR-02はイベントでのデモンストレーションを中心に活躍していますが、その可能性はまだ始まったばかりです。

「イベントでは来場者の方から『これは何に使うものですか?』とよく尋ねられます。そのたびに、私たち自身もこのロボットの持つ多様な可能性に気づかされます。例えばアミューズメント分野では、SR-02を複数台用意し、的に当たると機能が停止するバトルゲームのような遊び方が考えられます。4m弱の高さからゆったりと景色を眺められる特性を生かせば、風光明媚な場所を巡る観光ライドにもなるかもしれません。また、舞台の演目で大きな動物が必要な場面では、象のような外装を取り付け、演者として出演させることも可能です。さらに展示会では必ずと言っていいほど『災害救助に使えないのですか』というお声をいただきます。現行のSR-02はエンターテインメントに特化して設計しているため、荒れ地を進むような機能は備えていません。しかし、用途を災害救助と明確に定め、必要な駆動力や足回りを設計すれば、その分野で活躍できる可能性は十分にあると考えています」

すでに複数の企業や研究機関から協業の打診が寄せられており、異分野のノウハウを掛け合わせることで、まったく新しい価値の創出に挑んでいると言います。SR-02は“できあがり”の完成品ではなく、同じ想いをもつパートナーと共に育てていく共創の土台として同社は位置づけています。観光、商業施設、舞台、防災・災害支援など、目的に合わせて外装・演出・運用を一体で設計できるのが強みです。

こうして使いみちの幅を広げる先にあるのは、体格や年齢などにかかわらず、誰もが同じワクワクを味わえる体験づくり。その到達点として見すえるのが、誰にでも開かれた“没入体験”をかたちにすることです。

誰もが楽しめる「究極の没入体験」を目指して

SR-02が目指すのは、身長制限や健康上の理由で従来の乗り物に乗れなかった方にも、等しく最高の体験を届けること。例えば、座席を外して車いすのまま搭乗できる仕様にすれば、誰もが同じ高さから景色を楽しめます。将来的には、視覚情報に加えて風や匂い、温度変化などを組み合わせ、五感を刺激する「究極の没入感」を味わえるアトラクションへの展開も構想中。ハードとソフトの融合によって、これまでにない感動体験を生み出します。

今回のビジネスチャンスEXPOでは、一般の来場者もSR-02に実際に搭乗できます。1組最大5分間の乗機体験で、人を乗せて歩行する迫力、独特の揺れ、こみ上げる高揚感を全身で味わっていただけます、と宮﨑さんは話します。

「会場では、ぜひ実際に乗ってその魅力を確かめてください。もし一緒にできそうなことがあれば、ヒントをいただけると嬉しいです。この体験をきっかけに、より多くの方にロボット技術やエンターテインメントの面白さを知っていただけたら幸いです」

SR-02は、単なる展示物ではなく「体験そのもの」を提供する存在です。巨大なロボットに乗り込み、歩く――その非日常の体験は、忘れられない驚きと感動を届けてくれるでしょう。ぜひ会場で、未来の可能性に触れてみてください。

三精テクノロジーズ株式会社
大阪府大阪市淀川区宮原4丁目3番29号
https://www.sansei-technologies.com/
主な事業内容:遊戯機械、舞台設備、昇降機の製造・施工・販売

 

 

開催概要および見どころは公式HPで順次アップ中
事前来場登録の特典もあり!

詳しくはこちらをClick