2025年10月28日 10:00
【ライフスタイル】おやさいクレヨン・おやさいねんど、他
「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」の注目出展者たちに、出展内容や見どころをインタビューする本企画。今回は、廃棄される野菜や果物をパウダー状に加工し、クレヨンや粘土に落とし込むなど、アップサイクルを可能にする仕組みづくりに取り組んでいるmizuiro(東京都中央区新川2-13-11)をご紹介。代表取締役を務める木村尚子さんに、お話を伺いました。子どもを思うママの発想から誕生したクレヨンをきっかけに、企業コラボやOEM展開へと広がりを見せているmizuiro。社会貢献を“見える化”することで、より多くの人たちが幸せになれる未来をデザインしています。

mizuiroを代表する商品は「おやさいクレヨン」。野菜や果物の持つ天然の色合いをクレヨンに落とし込むことで、創造の楽しさと食の大切さを伝える、心温まるアップサイクルなアイテムです。
発案者は、代表取締役を務める木村尚子さん。青森県で生まれ育ち、シングルマザーとして娘との時間を保ちながら働くため、デザイナーとして起業。地元・青森の魅力をデザインの力で、新しい角度で切り出したい――そんな思いを抱く中、おやさいクレヨンが生まれました。

青森の冬は長く、一年のうち半年ほどが雪に覆われ、白と黒の世界が広がります。しかし、夏になれば「ねぶた祭り」に代表されるように、鮮やかな色彩が街を彩ります。このねぶた祭りのような鮮やかな色の世界を、子どもたちに届けたい。そんな親心から、おやさいクレヨンの開発がスタート。米糠から抽出される米油とライスワックス、そして、廃棄されてしまう野菜や果物を粉末にして配合することで、なんでも口に入れてしまう小さな子どもでも安心してお絵描きが楽しめるクレヨンが完成しました。

「おやさいクレヨンの開発・販売を開始した12年前は、アップサイクルという言葉も知りませんでした。もちろん廃棄される野菜があることも知らず、農家さんをめぐり歩くうちに、畑の片隅に山のように積まれた廃棄野菜を見て愕然としたんです」
どうせなら、そうした活用されずに埋もれていくものを使いたい。“もったいない”を減らしたい。そう思い、廃棄野菜を使用することにした木村さん。しかし、水分の多い野菜や果物を、粉末状に残すのは至難の業。数多の試行錯誤を経て、野菜や果物、そして花の色が楽しめるクレヨンが生まれたといいます。
今回出展する「おやさいねんど」は、おやさいクレヨンに次いで開発されたmizuiroらしいアイテム。軽くて柔らかい紙粘土に、廃棄野菜や果実の粉末を配合することで、優しい色合いに仕上がっています。

こちらも、おやさいクレヨンと同じ10色展開。安全な素材で作られているので、幼少期という好奇心旺盛な時代に感性を磨くことができる、うれしい効果が期待できます。
「造形した後、時間が経つと固まっていくので、思い出をそのまま形にして残しておけるという点もメリットですよ」と木村さん。環境にも体にもやさしいSDGsな粘土は、家族の思い出づくりにも貢献してくれそうです。
はじめは趣味の一環として、こぢんまりとした通販からスタートしたmizuiro。展示会に出展したことをきっかけにメディアの注目が集まり、企業とのコラボレーションを果たすなど、アップサイクルを手掛ける企業として認識され、事業が広がることになりました。
「カレーを製造する際に出るスパイスの残滓を活用したクレヨンを作ったり、使いきれなかったコスメの残りを集めて紙を着色して紙袋として再活用する取り組みをサポートするなど、多数の企業様からご依頼をいただき、課題解決のお手伝いをさせていただいています。また、2025年からはOEMの領域へも広げつつあります」と木村さん。

雪害により折れてしまった木材を再利用する取り組みや、哺乳びんに使用したプラスチックからママと子どもが共に楽しめるアクセサリー作り、布を裁断した際にでる繊維くずを板状にして建材やさまざまな製品へ生まれ変わらせる試みなど、独自の視点で社会問題の解決もサポート。令和4年には、科学技術分野の文部科学大臣賞を受賞。その取り組みは、国からも高く評価されています。
農林水産省の2022年のデータによると、規格外等の理由により収穫時に廃棄されている野菜は、年間推定170万トン。収穫後の加工等により廃棄される野菜は推定30万トン。合わせて年間200万トンに及ぶといいます。
野菜以外にも“使われずに廃棄されるもの”が多数あり、こうしたロスが自給率の低下や環境の悪化を招き、私たちの生活を脅かしています。

「私たちは、アップサイクルの先駆け企業であると自負しています。ロスを減らすために何から始めればいいのか分からない、どこから手をつければいいのかわからない――そう思われている方こそ、ぜひ当社のブースにお越しください。よりよい結果を目指して、一緒に考え、ご提案していきたいと思っています。捨てるしかないと思っていたものでも、意外な活用方法が見つかるかもしれませんよ」と木村さん。
その言葉を裏付けるのは、住友電気工業株式会社が開発したカーボンマイナスの実現を目指す技術を利用した未来素材「メタコル」を使用し、万博用サンバイザーを作成して配布する事案に携わった経験。「二酸化炭素すらもアップサイクルできる時代です。これまでにない素材を使い、新たな化学反応を起こしていきましょう」

「mizuiroはまだまだ小さな会社のため、アウトプットしきれていない現状ではありますが、みなさんとともに成長させていただければ幸いです」――笑顔で微笑む木村さん。青森だから、ママだから、そしてデザイナーだからこその視点で見つめる未来は、きっと、子どもたちの笑顔にあふれていることでしょう。

開催概要および見どころは公式HPで順次アップ中
事前来場登録の特典もあり!
▼ 詳しくはこちらをClick ▼