2026年10月15日 10:30

“触れて、感じて、考えて動く”ロボットが活躍! リアルハプティクスⓇ×フィジカルAIが切り拓く新たな可能性

【主催者ブース】フィジカルAI×リアルハプティクス〈力触覚通信ハンド、力拡張作業ロボット、自動研磨ロボットほか〉(慶應義塾大学 ハプティクス研究センター)

2026年の「ビジネスチャンスEXPO in TOKYO」で、主催者企画のテーマとなるのが「フィジカルAI」です。AIが画面の中だけでなく、ロボットなどの「身体」を持ち、現実空間で人とともに働く時代が始まろうとしています。
今回、主催者ブースに登場する慶應義塾大学 ハプティクス研究センター(神奈川県川崎市幸区新川崎7-1)は、世界で初めて開発された技術「リアルハプティクス」の研究と、医・工・産学連携による社会実装を進めています。
センター長で慶應義塾大学 特任教授の大西公平さんに、「リアルハプティクス」の技術がもたらす新たなロボットの可能性と、今回の展示の見どころを伺いました。

人間の「触る感覚」を数値化し、ロボットに伝える「リアルハプティクス」

さまざまな作業を助けてくれる現在の産業用ロボット。決められたプログラム通りに動く反面、柔軟性に欠け、製品の形状や素材などが少しずつ変わる多品種・少量生産や、細やかな力加減を必要とする作業の自動化は難しいとされてきました。その背景には、ロボットには「触覚がない」という課題が存在しています。

それを解決するのが「リアルハプティクス」という技術です。

「これは、人間がものを触ったときに感じる力や感覚、つまり『力触覚』を信号に変え、人工的に再現する技術です。その信号は、人間とロボットの間で双方向に伝えることができます。フィジカルAIと組み合わせ、ロボットが『力触覚』を扱えるようにすることで、これまで難しかった繊細な作業や遠隔操作などが可能になり、現場の状況に応じて臨機応変に、まるで人間のように動くロボットを実現できます」と、大西教授。

今回のブースには、まさにこのフィジカルAI×リアルハプティクスで実現する「触れて自ら考えるロボット」を、見て、触れて、体感できるデモ機や展示物を用意。少子高齢化や人手不足の解決に向けた新しいロボットの仕組みが紹介されます。日ごろ人間が手を使って何気なく行っている動作を、ロボットでどこまで再現できるのでしょうか。

従来のロボットに足りなかったのは人間の「触る感覚」

「リアルハプティクス」の最大の特徴は、これまで数値化が難しかった「力触覚」をデジタルデータとして扱えるようになったことです。

視覚や聴覚の数値化が進む一方、長年、不可能とされてきたのが「力触覚の数値化」でした。これを世界で初めて実現したのが、2002年に慶應義塾大学で開発された「リアルハプティクス」です。そのきっかけは、同大学医学部から「手術用ロボットに、医師の指先の感覚をそのまま再現したい」という依頼があったこと。現在は、2014年に設置されたハプティクス研究センターで、社会実装を目指した研究・開発が進められています。

「人間は、何かをつかむとき、触れた瞬間に、目で見ただけではわからない『硬い』『柔らかい』『滑る』『弾力がある』といった『力触覚』を脳が感じ取り、無意識のうちに力加減を調整しています。ですが、従来のロボットにはこの指先→脳→指先といったフィードバックがないため、人間のような微妙な力加減を調節できません。これからのロボットに不可欠な、人間が感じるリアルな『力触覚』を伝えることができるのが、『リアルハプティクス』なのです」と、大西教授は説明します。

人にしかできなかった作業を可能にする3つの機能とは?

「リアルハプティクス」の目的は、単にロボットに「力触覚」を与えることだけではありません。大西教授が目指すのは、この技術を使って、人間が持つ繊細な「力触覚」を、フィジカルAIを通じてロボットに再現させ、人と同じように動かすことです。

それを可能にするのが、「リアルハプティクス」の3つの重要な機能=「伝送」「記録・再生」「修飾」です。
「伝送」は、触れた感覚をリアルタイムで遠隔地へ伝える機能。離れた場所にあるものの感触を手元で感じながら作業できます。「記録・再生」は、熟練者の力加減を記録・データ化し、ロボットで再現する機能。人間が行ってきた繊細な作業を、力加減まで含めて再現できます。そして「修飾」は、力の拡大・縮小や動作速度の変更ができる機能です。硬い・重いものには人間の軽い力で動かし、反対に壊れやすいものには力を小さくして作業するといった使い方ができます。

壊れやすくノイズの多い力センサーを使わないのも、特徴の一つ。
「1万分の1ミリ単位の高精度で位置を計測する位置センサーと、独自のアルゴリズムを使って、力と速度を超高速で計算・算出する手法を確立しました。これによって、極めて高精度で、しかも素早く反応できる触覚データをリアルタイムで取得できるのも、大きな特徴です」

これらの機能を応用し、現在、建設、プラント、医療などの現場や、メタバース(仮想空間)で社会実装が進められています。例えば、山岳トンネルの掘削作業で、施工者が力触覚を感じながら岩盤の小さな穴に火薬を装填する。専門医がいない病院で、遠隔にいる医師が患部に直接触れる感覚を得ながら緊急手術をする、といった活用も期待されています。

これまで人間が担ってきた領域をロボットで支え、未来の働き方を大きく変える技術として、活用が期待されています。

ポテトチップスを割らずにつかめる? 新しい「触覚」を会場で体感

今回の展示で、来場者が直感的に「リアルハプティクス」を体験できるのが、「力触覚通信ハンド」です。離れた場所にある物体の硬さや柔らかさを、手元でそのまま感じ取ることができます。

親機のハンドを動かすと、離れた場所にある子機に付いたロボットハンドが同じように動き、薄いポテトチップスをつかみます。このとき、ロボットハンドがポテトチップスに触れたときの「力加減」が、まるで自分が実際に触れたように親機から手元に伝わってくるので、「これ以上、力を加えたら割れてしまう」と判断しながら、つかむ力を調整することができます。

「リアルハプティクス」の機能をオフにすると、慎重につかんだつもりでも、ポテトチップスはすぐに割れて、つかむことができません。目で見るだけではわからない「触る」という情報の大切さを体感できる展示です。

「力拡張作業ロボット」では、硬い木片に指1本で釘を打ちつける作業を体験できます。これは前述の「修飾」の機能と油圧を利用したもの。軽い力を拡張して釘を打ちながらも、釘が木片に少しずつ埋まっていく感触を感じられることに驚きます。

このほか、熟練者の力加減をロボットが再現し、曲面や個体差のある素材への作業にも対応する「自動研磨ロボット」、人間の手首の動きを指4自由度+手首3自由度で力触覚とともに再現する「スマートハンド」なども。実際に体験してみると、「リアルハプティクス」がさまざまな現場の作業を支える技術であることが見えてきます。

日本の優れた技術をロボットで生かし、未来へつなぐ

「リアルハプティクス」の応用が期待されるのは、物流、製造、建設、医療など多岐の分野にわたり、それは大手企業の現場ばかりではないと、大西教授は話します。

「例えば、左官作業なら、遠隔地にいる職人が現場の壁にコテを当てた感触を手元でリアルに感じながら、作業を行うことができます。農業なら、ロボットが収穫作業をするときに『手ごたえ』があれば、よりよい作物を選別することができるでしょう。また、熟練者の力加減や手の動きをロボットが正確に再現できれば、伝統工芸や料理、芸術などの分野にも活用でき、次の世代へつないでいくこともできます」

「『リアルハプティクス』のすごさは、難しい話よりも、実際に体感していただいたほうがわかりやすいですよ」と、大西教授。「『触る』という情報がロボットに加わったとき、何ができるようになるのか、ぜひ触れて感じて、これからのものづくりを支えるロボットの可能性を体感してみてください」現在、『臨機応変ロボットプロジェクト』を立ち上げ、公募も実施中。さまざまな課題に応じた提案やコンサルティングの相談も可能です。
「皆さんの素晴らしい技術と私たちの技術が結びつくことで、日本の発展につながればうれしいですね」

慶應義塾大学 ハプティクス研究センター
神奈川県川崎市幸区新川崎7-1
https://haptics-c.keio.ac.jp/
主な事業内容:「リアルハプティクス」技術の基礎・応用研究、医工・産学連携による「リアルハプティクス」技術の研究推進・多面的展開支援

 

開催概要および見どころは公式HPで順次アップ中

▼ 詳細・来場登録はこちら ▼
https://bizchanexpo.tokyo/