2026年11月2日 14:00

“梅干し目線”で伝統食を今へ。煎り酒「よしなに、」がひらく新しい食卓

【フード】梅と星の煎り酒 よしなに、梅干し、ブレンド塩(株式会社バンブーカット)

伝統食の価値が改めて見直されるなか、昔ながらの食文化を“今の暮らし”に合うかたちで伝える動きが広がっています。今回は、その新しい楽しみ方を提案する企業の一つとして、梅干しを軸に商品開発や店舗運営を手がける株式会社バンブーカット(東京都台東区浅草2-2-4)を紹介します。
同社が今回のビジネスチャンスEXPO in TOKYOでメインに紹介するのは、古くから伝わる調味料「煎り酒」を現代の食卓に合わせて仕立てた「梅と星の煎り酒 よしなに、」。このほか、全国から厳選した17種類の梅干しや、12種類のオリジナルブレンド塩も出展します。代表取締役の竹内順平氏に、商品づくりとその思いを伺いました。

「梅干しって、おもしろい」から始まった商品づくり

バンブーカットの原点は、竹内氏自身が梅干しに興味を持ったこと。25歳で独立を考えたとき、「自分がいいな、おもしろいなと思うものを、たくさんの人に伝えたい」と最初のテーマに選びました。現在は「立ち喰い梅干し屋」「ぐるぐるしゃかしゃか」「梅と星」の3店舗を運営し、商品開発やイベントも手がけています。

「日本を代表するような食べ物なのに、梅干しのことを自分は何も知らなかった。それがおもしろくて、どんどん調べるようになりました」

“梅干し目線”から生まれた煎り酒「よしなに、」

煎り酒は、梅干し、昆布、鰹節を日本酒で炊き、アルコールを飛ばして作る調味料。竹内氏は梅干しについて調べるなかで、その存在を知りました。
「いろいろな煎り酒がありますが、“梅干し目線”で作られているものはなかった。だったら、僕らが梅干しを大切にした煎り酒を作ろうと思ったんです」

「よしなに、」には、和歌山県で有機栽培された梅を使った梅干しを使用。目指したのは、醤油に取って代わるのではなく、醤油と並んで使える調味料です。

「煎り酒は“醤油の代わり”と言われることが多いのですが、僕たちはいろいろな文献を読み解いて、“醤油の隣にあった調味料”なんじゃないかと考えています」

そこで塩分を控え、梅の酸味や風味をやさしく感じられる味に。梅干し、昆布、鰹節など、素材はシンプルに。少量の黒糖で深みを加えます。梅干しは一度炙ってから炊くのも特徴です。

「炙ると塩の角が丸くなり、梅自体の味の濃さもぐっと上がります。このひと手間を加えるかどうかで、意外なほど変わるんです。試作では山椒を入れたりもしましたが、味が限定されてしまう。できるだけシンプルに、昔ながらに近い形でおいしくすることを考えました」

「よしなに、」の原型は、約4年前に浅草の「梅と星」で自家製調味料として生まれたもの。お客さまの声に後押しされ、製造を委託し、パッケージも刷新。本格展開へと進みました。

「白身魚や卵料理にはそのまま。オリーブオイルと合わせてドレッシングにしたり、柚子胡椒と合わせて鍋のたれにしたりもできます。いろいろなものと混ぜられるのが、この煎り酒のいいところです。商品名の『よしなに、』にも、“好きに、いい塩梅で使ってほしい”という思いを込めています。昔のものを蘇らせるというより、昔あった宝物を、今だったらもう一度楽しめるんじゃないか、という感覚なんです」
竹内氏が思い描くのは、醤油や塩、酢、みりんなどと同じように、食卓に煎り酒がある風景です。

300種類以上から厳選。“自分好み”に出会える梅干し

今回の展示では、竹内氏が全国300種類以上を食べ歩き、「本当に人にすすめたい」と選んだ17種類の梅干しも並びます。

昔ながらの酸っぱくてしょっぱい梅干しから、はちみつ梅、昆布梅、オリーブオイル漬け、麻婆梅まで、味わいはさまざまです。生産者の異なる17種類を、共通の瓶とデザインで展開しています。
「それぞれの生産者さんにご自身のパッケージがあるなかで、同じデザインに揃えることを皆さんが受け入れてくださった。この10年でいちばん仕事をしたと思えた瞬間でした」

共通のデザインにしたのは、梅干しに詳しくない人でも味の違いに目を向け、自分の好みに合った一粒を選びやすくするためです。
「甘めの梅干しが苦手な人に甘いタイプをすすめても、梅干しを嫌いになってしまうかもしれない。その人の好みの味にちゃんと出会ってもらうことが、梅干しを好きになるきっかけだと思っています」

バンブーカットが掲げるのは、「かわいいと、おいしいを、縁起よく。」。味だけでなく、デザインやネーミング、選ぶ楽しさまで含めて、伝統食との新しい接点をつくっています。

塩と塩を掛け合わせ、食材のおいしさを引き出す

もう一つの出展商品が、12種類のオリジナルブレンド塩です。梅干しの原料である塩へのこだわりから生まれました。同社のブレンド塩は、うま味や香辛料を加えるのではなく、特徴の異なる「塩と塩」を組み合わせたもの。米、牛肉、豚肉、魚など、食材ごとにブレンドを変えています。

一番人気は、米に合わせた「こめこめ」。数種類の塩をブレンドし、米の甘みや、おにぎりにしたときの塩味の残り方まで考えて設計しています。牛肉に合わせた「ぎゅうぎゅう」は、炭塩を配合し、香ばしさと噛んだあとまで残る塩味を意識して仕立てています。
「食材の短所は補って、長所は伸ばす。そんな設計です。塩が変わるだけで、こんなにおいしくなるんだということを、もっと多くの人に知ってもらいたいですね」

「されど梅干し、されど塩」を会場で体験

ビジネスチャンスEXPO in TOKYOでは、「よしなに、」を中心に、17種類の梅干しやオリジナルブレンド塩を展示予定。「よしなに、」は試飲、ブレンド塩は味見も予定しています。
竹内氏が期待するのは、煎り酒をまだ知らない人や、その可能性を一緒に広げてくれる小売店、飲食店との出会いです。

「醤油売り場があるように、“煎り酒のコーナー”ができるくらい、煎り酒という言葉が普通になってほしいですね。梅干しも塩も、“たかが梅干し”“たかが塩”と思われがちです。でも、僕らが紹介するのは、“されど梅干し、されど塩”と思ってもらえる、ちょっと驚きのあるもの。ぜひ実際に見て、味わってもらいたいです。煎り酒を知っている方も、初めて聞いた方も、一緒に盛り上げてもらえたらうれしいですね」

株式会社バンブーカット
東京都台東区浅草2-2-4
https://bamboo-cut.jp/
主な事業内容:梅干し・塩・調味料などの商品企画・開発・販売、店舗運営、イベント企画

 

開催概要および見どころは公式HPで順次アップ中

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